曹洞宗婦人会、ペルーの子どもたちに本を寄贈
曹洞宗の南米開教100周年ちなみ
曹洞宗(有田惠宗宗務総長)の南米開教100周年にちなみ、曹洞宗婦人会(早川直美会長)では現在、「南米ペルーの子どもたちに本を贈る運動」を展開している。予算は同会の「きゃら基金」よりの約50万円で、対象は、①経済的に苦しい教育機関と児童福祉・更正施設、②日系の学校、③曹洞宗に縁ある学校、④日本国内の在日ペルー人子女の教育機関となっている。
寄贈は10月8日に始まった。当日は、三好晃一・同宗南米国際布教総監が婦人会の代理として出席し、第21514番国立幼稚園併設小中学校にて贈呈式が行われた。同校のあるリマ州カニエテ郡サンタ・バルバラ地域は、100年前の明治36(1903)年、曹洞宗の布教師・上野泰庵が南米大陸初の仏教寺院を開創した場所である。
贈呈式でカルメン・ワパヤ校長は「本校は、ウエノ師が開いた日本人小学校の後身。ソウトウ教団からの寄贈には重要な意義がある。深謝します」と語り、三好師は「本をたくさん読んで、立派な人になってください」と述べた。三好師による新聞紙を使った手品の披露もあり、子どもたちとの交流を深めた。
寄贈の終了は、11月末が予定されている。
絵本や教材は合計で約850冊で、すべて現地で購入された。内訳は、聖書物語(絵本)や絵本、辞書、ペルー人作家による創作絵本、アンデルセン童話やペルーの神話および学校教材が現地の実情にあわせて選ばれた。当初、日本の絵本に同国の国語(スペイン語)の訳文を添えて寄贈する案もあった。だが「現地調達」には、①寄贈先が歓迎する、②単価が安い、③現地経済に僅少でも貢献する、というメリットがある。後進国の例にもれず、ペルーでも「自国で出版された本が自国民に読まれていない」ため、今回の寄贈は各寄贈先に喜ばれている。例外として、米軍による東京大空襲を描いた『ガラスのうさぎ』西語訳本が日本から数冊運ばれた。
寄贈先との連絡、購入と寄贈をボランティアで行う川又千加子さん(リマ市在住)は、「フジモリ政権下で多くの学校が建設されましたが、中身の充実はまだ。図書室のない学校が普通ですし、地域住民が校庭に大量のゴミを不法投棄したり、トイレが不足していたり…。勉強する環境を整備して、子どもたちに、教育の機会を持ってもらいたいです。そんな気持ちで、手伝っています」という。就学率と識字率は高いが、現状では本を読まない子が大多数だ。
なお、仏教伝来100年および現地図書による寄贈が注目され、一連の寄贈は、ペルーを代表する「エル・コメルシオ」紙が取材していた。[太田宏人]
『仏教タイムス』2003.10.30掲載
合掌
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