おそらく、南米のスペイン語で使うと思うのだが、ペルーでも良く「ahorita(アオリータ)」という言葉を聞く。
ahora(今)を特異化させている言葉で、この言葉が使われる状況で意味は変わってくるが、「たったいま」とか「今すこし」「ちょっと、今ね,,,」とかという意味になるようだ。
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ペルーでは、ペルーの人に何か頼みごとをすると、まあ、通常、遅れる。
ショウシャ(日系の進出企業。大使館で呼ぶところの邦系企業)の人たちは「リアクションが遅い」と指摘するが、まさにその通り。そして、時間にズボラすぎる。
日本人のある人々が持っているような対人関係(とくに仕事での)木目の細かい心遣い、なんてものは、ペルー国民の感情の中には、あまり存在していないように思える。
そこがおおらかでいい、という人もいるが、ペルー人自身のなかにも、「おおらかさ」にガマンがならない人々が増えて来ているような気がする。
このあいだの日曜日、メルカード(市場)で、ある男性が、店のオバチャンにいかり狂っているではないか。
「早く品物を出してくれ、俺は忙しいんだ!!」
オバチャンは鷹揚に構えて、くだんの言葉を吐く。
「アオリータ、アオリータ、セニョール(だんな)!」。
男性氏は、どうやらお金だけは払っているようだ。しかし、オバチャンは商品はおろか、お釣もそっちのけで、となりの店のオバチャンと、なにか相談している。その相談はまだまだ続きそうである。男性氏の怒りの限界も頂点に達してきそうだ。側で見ていた私は、じつはこのオバチャンはお釣がないのではないかと思った(釣り銭がないことは、ペルーでも当たり前だから)。
ただ、この場合の「アオリータ」をなんと訳していいものか、ちょっと悩んだ。 (太田)
『ペルー新報』WEB版98年11月12日掲載
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