2007年9月4日火曜日

(墓52)アンデス山中の一夜

しんぽう週末コラム

以前、アンデス山中の村にいた。
ある祭の夜、少し酔った。そして、踊り疲
れた。酔いをさまそうと、宴会場になってい
るパン焼きの家(カサ・デ・オルノ)から、
外に出た。

すると、満天の星空だった。無数の流れ星
や、名前を知らない南半球の星座たち。海抜
三〇〇〇メートルの夜の冷気が肌を刺し、ほ
てった体を刺激する。

そうやってしばらく上を向いていたら、男
の子がやって来て、何を見てるの? と、聞
いた。

「お星様」
「ふ~ん…」

毎日、落ちてきそうなほどの星空を見飽き
ている彼には、星のない街から来た人間の感
動など、わかりにくいのかも知れない。

※ ※
人は、身の回りにある、ありふれたものの
価値を忘れがちで、目新しいものばかりを求
めてしまう時がある。

それを、星に教えられた気がする。ただし
星は星。何かを言ってくれるわけではない。
星は、悪意を持っていない。同情もしない。
ただ冷たく、澄んだ光を発するのみである。

星の輝きは、客観的だ。だから、大切なも
のをなくしたり、感情に流されそうな時、星
を眺めに出かけたい。

悪意でも、同情でもない、そんなありがた
い批判にさらされた時こそ、星々のように、
冷徹でありたい。

それでは皆さん、良い週末を。ちなみに、
風邪の予防には、いつも手を石鹸で洗うこと
だそうです。これだけで、風邪になる確率を
三割も減らせるそうですよ。
(8/2)
『ペルー新報』掲載日時忘れた

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