むかし、
「あんたもね、女子校の先生になりなよ。そしたら、あんたみたいのでも、ぜったいモテる」と、女子校出身の友人が断言した。
「ほんとう?」
と、たぶん目を輝かせながら聞き返すと
「当たり前よ。周りは女だけでしょ、どんな男でも『良く』見えるんだから。あんたの性根が腐ってても、分かりっこないわよ」。
…そうだったのか。
だが、学校から一歩外に出れば、いくらでも男なんているだろうに…、と素朴な疑問が頭をよぎったものの、思い当たる節もある。
私が通った高校は男子校だが、そこでも似た状況はあった。例えば、唯一の女性である図書室のオバチャン(一応、教諭)に異様な人気があったりしたものだ。
みな、異性に対するまっすぐな憧れや妄想を持っていた。なお、ゆがんだ欲望のなせるわざか、部活の先輩(当然、男)に「想い」を打ち明ける人物もいたが、特殊なケースと言わざるを得ない。
さて、ペルーにいると、おおかたの予想通り「モテる」。以前、急に親しくなった女性に「日本に行くためにつき合いたいのか」と(失礼な)質問をしたら激怒されたが、彼女はその後すぐに日本に出稼ぎに行ってしまった。今思えば「俺を日本行きの切符にしたかったのか」と言えなくもないが、本当のことは良く分からない。
が、今なら言える。
「いやあ、日本人なんて、日本に行けばいくらでもいますよ」。
ペルーにいる日本人は、女子校(男子校)の男(女)の先生のようなもの…?
ちゃんとした「姿」が見えているのかな、と、心配だ。
それでは皆さん、どうぞ良い週末をおすごし下さい。
『ペルー新報』1998年3月21日掲載
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